7/18/2012

大津市中2いじめ自殺について 3

私が大学のアメリカンフットボール部で監督をしていた頃、上手い下手に関わらず、選手ともまたマネージャーとも皆平等に接することを何より大事にしてきた。

選手としての起用法が平等という意味ではない。上手い選手は当然試合に長く出したし、下手な選手で安全が確認できない場合は試合に全く出さないことだってあった。

しかし、だからといってそれ以外のことで上手い選手を優遇したことは一切ないし、下手な選手を蔑ろにしたことも一切ない。

それは私が現役時代に自然と身についたことだと思うが、私たちは、例えば相手をどれだけ力強くブロックできるか、で「選手」として評価されるのであって、そのことで「人間」が評価される訳ではない。確かに優れた選手には優れた人格者も多いが、それはイコールではなく、選手としては二流、三流であっても優れた人格者はいくらでもいる。

指導的立場にある人間は、ややもするとある側面のみで人間性まで評価してしまう、つまり優れた選手を優遇してしまう過ちを犯しがちであるが、それは厳に慎まなければならない。

さて、そんなことをふと思い出してしまったのは、下に記した記事を読んだからだ。
確かにいじめた側にも人権はある。
しかし、いじめられた側にも人権はあり、いじめを傍観していた者たちにも人権はある。
それぞれが平等に尊重されるべきであり、今回の場合、いじめた側の人権に配慮して、またいじめた側に不信感を持たれないように配慮して聞き取り調査を行わなかったというのは、全く平等ではない。

報道のみを鵜呑みにすることもある意味平等性に欠けるかもしれないが、今回の事件についての学校側や市教委、教育長らの発言を読むにつれ、何か大事なものが失われたまま教育が行われ続けてきたことに気付き、恐怖すら感じる。

大津市教委、加害生徒?に確かめず…中2自殺(YOMIURI ONLINE)
【記事】
大津市の市立中学2年男子生徒が自殺したことを巡って行われた全校アンケートで「(男子生徒が)自殺の練習をさせられていた」との回答を市教委が公表しなかった問題で、市教委が加害者とされる同級生らに対して直接、真偽を確認していなかったことがわかった。市教委はこれまで、非公表にした理由を「事実を確認できなかったため」と説明していた。

市教委によると、「自殺の練習」は、生徒16人が回答に記していた。うち実名で回答した4人には聞き取りをしたが、事実は確認できず、それ以上の調査もしなかったという。加害者とされる同級生らにも聞き取りを行う機会はあったが、「練習」については一切尋ねなかったとしている。

その理由について、市教委は読売新聞に対し、「事実確認は可能な範囲でしたつもりだが、いじめた側にも人権があり、教育的配慮が必要と考えた。『自殺の練習』を問いただせば、当事者の生徒や保護者に『いじめを疑っているのか』と不信感を抱かれるかもしれない、との判断もあった」と説明。結局、事実がつかめなかったとして、非公表にしたという。

しかし、市教委は「蜂の死骸を食べさせられそうになっていた」「毎日のようにヘッドロック(頭を締め付けるプロレス技)をされていた」「体育大会で手首を後ろ手に縛られた」などの回答については、加害者とされる同級生らに直接確認し、経過も公表していた。いずれの行為も、同級生らは「いじめではなく、遊びのつもりだった」と否定していたという。

またアンケートを巡っては「教師がいじめに見て見ぬふりをしていた」などとする回答が15件あったことも判明。市教委は「確証がつかめなかった」として非公表としている。

こうした対応について大東文化大の村山士郎教授(教育学)は「当たり障りのない情報だけを公表しているとしか思えない。『自殺の練習』はいじめと自殺の因果関係に決定的な影響を与える要素で、回答者が10人以上いるなら、確度が高いと思うのが普通だ。教育的配慮も大事だが、方法を考えて聞くべきではなかったか」と指摘している。

大津市教委に爆破予告電話

5日午後3時55分頃、大津市御陵町、同市役所別館内の市教委学校教育課に、男の声で「8時に爆弾を仕掛けた」「お前らのところ」などと電話があった。

通報を受けた大津署員らが別館内を調べたが、爆弾は確認できず、大津署は威力業務妨害容疑で捜査。

爆破予告時間の午後8時前後、万一に備えて残業中の職員約50人が屋外に避難。別館前を通る市道が通行禁止となり、京阪電車も石山寺―坂本間の運転を一時見合わせた。

(2012年7月6日  読売新聞)

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